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「自殺」のニュースが、また駆け巡った。

岩手県矢巾町。
報道ではなお、校名は伏せられている。
ところがネット上では、嘘か真か、早いうちに明らかにされていた。

正義の名の下に、その正当化を主張する「犯人捜し」
加害者のみならず、その周辺の教諭や校長の実名探索。
事件にまつわる見解を吐露すれば、そんな意見は許さないとまた糾弾する。
どこまでも終わらないし、終わらせようともしない。
関係者が「火消し」に走っているのかどうかも分からないが、
もっとこの火を広げようと油を注ぐ人たち。
ネット上にうごめく彼らの姿は、見えない。

学校が、町が、教育委員会が、警察が、
誰も解決できないのなら、我々が目に物見せてくれようと。
躍起になるその状況は、まさに「不謹慎な祭り」
果たして、誰が是とするのだろう。

いじめは無くならないのかな、と思う。

一見、世直し勝手連のようにも見えるが、
これが「何かを解決しようという人の言うこと」なのか。

もどかしさゆえ、大きな力を生み出そうという思いまではともかく。
見ず知らずの町の線路で、ひっそり命を絶った人を思えば。

結果的には、好奇心だけのムーブメントである。
「東北農村の閉鎖性が生み出した」とか
「東北特有の隠ぺい体質」とか
普段思っている偏見を総ざらえで提供し、
「言われている側の東北」は連帯責任を追われて、
一度で二度気分を害する。

真実は早急に解明されるべきだが、
ネットで交わされる評価・批評は、躊躇われるものばかり。
仕舞いには、学校名を名指しして、
そこに在籍する生徒たちの将来をも否定するようなことを言う。
進学や就職に差し障りがあるとか、擁護にまわっているのは認めがたいとか。

たまたまそのエリアに住んで、義務教育で通う生徒たちに原則選択肢はない。
今まさに渦中にいて、翻弄される彼らに対して、
言わば「脅迫」とも思える言葉を発するとは…
これはそのまま、いじめと言えるのではないか?

本当のことは分からない。
しかし少なくとも、それを明らかにするのは脅迫ではない。

主犯を自ら明らかにしなければ、
そこにいるすべての人間が罪を追えといった言い草は、
一揆を蜂起した首謀者を差し出せ、といった代官の、前近代的な感覚。
そうでなければ、一族郎党みな露と消える、とでも言いたげ。

閉鎖だ隠ぺいだと指弾する当人が、こんなことを言うのか。
失われた人の命を思う場面で、
死ねだとか、殺すだとか。