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岩手県で今、次々と消え去る昭和が、話題に上る。

その先陣を切ったのが、花巻市のマルカン百貨店。
百貨店と聞いて、伊勢丹や高島屋をイメージされては困る。
国際競争の一角に立つ東京の、ではなく、
地方の、そのまた地方の、古き良き思い出の只中にあるような店舗だ。

失礼を承知で言えば、
絵にかいたようなシャッター街の中心に、その建物はある。
人通りの無いアーケードが嘘のように、
その最上階の大食堂は、客でごった返す。

耐震性を理由に閉店を打ち出したところ、
さらに来客が増加し、限定メニューで店休日を設けざるを得なくなった。
奇跡のような集客力は、「懐かしさが新しい」その趣だろう。
もう、この懐かしさは東京の百貨店には無い。

経営母体は優秀で、手広く商売を広げている。
これは、自然発生的な合理化なのだ。
「市民に愛されているから」だけでは立ち行かないことを、良く知っている。

名人だけが作れる長いソフトクリームを、割り箸を使って食べるという「文化」
これは立派な観光資源であり、今ではよく知られた花巻の名物。
それは、観光雑誌にも載っているほど。

最後に残った光明を、失いたくない市民の気持ちは、察して余りある。
これについては、当の花巻市長も市の公式ウェブサイトでコメントを寄せている。

什器、制服、価格、メニュー、そして展望可能なロケーション。
全てが一体となって、この雰囲気は醸されている。
どれかを失えば容易に崩れ、再生産することは難しい。
存続を求める高校生の署名運動まで起きて、継続できないかと大人も立ち上がった。

請願されたってお金の掛かること、無駄でしょ、という大人も大勢いる。
ただ、それも夢の無い話だな、と思う。

花巻はかつての城下町で、地域の要と目される規模だった。
ところが今は、隣の北上市に、その勢いで後塵を拝する結果となっている。

これまでも花巻は、企業流出や大型小売店舗の閉店が相次いだ。
旧態依然と言えば、その通り。
対して北上は、変動こそあれ、企業進出の動きが絶えない。

岩手県唯一の空港を持った花巻だが、その利活用は伸び悩む。
ビジネス利用としては、北上市内の企業関係者がよく使うとも。

北上は高速道の結節点となり、
今年、盛岡や花巻を差し置いて「地域区分郵便局」が生まれるという。
岩手県の物流の拠点は、間違いなく北上市。
全国区企業の工場進出も目覚ましく、飲食店も多い。
今や、花巻から北上へと人が流れているのだ。

変化の波を鋭く読んできた企業が、
変化を求めない市民のために敢えて残してきたもの。
「マルカン百貨店」の存在は、そんな風に思える。

事実、「マルカン」が百貨店以外に展開する店舗では、
銀座伊東屋や鳩居堂の高級商材など、
東京の百貨店と違わぬ品ぞろえを実現している。

百貨店と言いながら、ワンフロアをいっぱいに使った大食堂がメインで、
そのためだけに耐震工事を施すというのは、土台無理な話ではある。

ノスタルジーだけでは解決できない。
ひょっとするとこれは、
花巻という土地が抱えた、地域全体の課題なのかもしれない。
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